ナイトロックス・メンブレンシステムとは?|Nitrox Tech    戻る  38Airtech社製メンブレンシステムのページへ

ダイビング用ナイトロックスの製造方法には、いくつかの方法がありまが、分類すると「純酸素を用いる方法」と、「大気から製造する方法」の2つに分けられます。

純酸素を用いてナイトロックスを製造する方法
純酸素を用いる方法の中で、代表的な方法が「分圧混合式」と呼ばれている方法です。 これはスクーバタンクに一定の圧力まで純酸素を充てんし、そのあとから空気を充てんして目的の酸素濃度のナイトロックスを製造します。
この他にも純酸素を用いる方法として、高圧コンプレッサーの空気吸い込み口から少量ずつ純酸素を流して目的の酸素濃度のナイトロックスを作り、それをコンプレッサーで圧縮してスクーバタンクに充てんします。(連続噴射混合式)

このように純酸素を使ってナイトロックスを製造する方法は、あとから述べるメンブレン式に比べて設備が簡単で費用が安いのが利点です。しかし一方で、純酸素を扱うことから発火や爆発の危険性が高く、また高圧ガス保安法という厳しい法律のある日本では、許可を取るのがとても困難です。

大気からナイトロックスを製造する方法
これは大気から、空気中の窒素を除去して相対的に酸素濃度の高い空気を製造する方法です。この方法にも2つの方法があり、一つが「PSA式(圧力スイング吸着法)」といわれる方法で、もう一つがメンブレン式といわれる方法です。PSA式でナイトロックスを製造する方法は、スクーバダイビングの世界ではあまり使われていません。従って、ダイビング用として大気からナイトロックスを製造する方法では、メンブレン式が最も多く使われています。

メンブレンは、最高でも酸素濃度が40%までしか出せないのですが、その事がレジャーダイビング用のナイトロックスを製造する上で大きな利点の一つなのです。なぜなら、間違った操作をしても酸素濃度が40%を越えないのですから、発火や爆発の危険性が極端に低く、アメリカ海洋大気局(NOAA=National Oceanic and Atmospheric Administration)やアメリカ海軍、米国労働安全衛生局(OSHA)は、「酸素濃度40%までのナイトロックスはダイビング器材の酸素クリーニング無しでそのまま使用可能」との見解を表明しています。

またメンブレンそのものは、とても耐久性が高く長い期間に渡って交換の必要がありません。更に大気を原料とするのですから原料代が掛からず、ランニングコストを低く抑えることが出来ます。

こうした理由から Nitrox Tech では、レジャー用のナイトロックス製造法としてメンブレン式を採用しています。


メンブレンでナイトロックスを生成する原理
メンブレンは、通常金属製の筒の中に細い化学合成のチューブがたくさん入った構造になっており、そのチューブの中にある程度の圧力を掛けた空気を通すと、ガスの種類による透過速度の違いによって窒素分の多いガスと酸素分の多いガスに分かれます。この酸素分の多いガス(酸素リッチガス)がナイトロックスです。

メンブレンモジュール

メンブレンシステム
メンブレンでナイトロックスを生成し、高圧コンプレッサーでスクーバタンクにナイトロックスを充てんするには、「低圧コンプレッサー」でメンブレンに送り込む空気の質が重要になります。それは、水分の多い汚れた空気がメンブレンに入ってしまうと、メンブレンの透過膜が詰まってしまったり機能を果たさなくなったりします。そのためメンブレンに供給する空気は、「ドライヤー」で水分を除去し、「フィルーター」で不純物を取り除いたきれいな空気にする必要があります。
スクーバ用高圧コンプレッサーにナイトロックスを供給するまでの前段階の処理をする機器類一式を、私たちは「メンブレンシステム」と呼んでいます。

従って、メンブレンシステムの原理としては、「低圧コンプレッサー」、「ドライヤー」、「フィルター」、「メンブレンモジュール」の4つの部分から成り立っています。

ナイトロックス製造設備概念図

温度による影響
メンブレンで生み出せるナイトロックスの酸素濃度は最高40%までですが、この数値はメンブレンに供給される空気温度の影響を受けます。温度が低いと酸素濃度の限界が低くなりますので、そのような場合には「ヒーティングシステム」などを用いて、供給する空気の温度を上げる必要があります。


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